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2022.02.10 2021年度 月面での科学研究・技術実証ミッションにかかるフィジビリティスタディテーマ選考結果の公表

 

2021年度 月面での科学研究・技術実証ミッションにかかる
フィジビリティスタディテーマ選考結果の公表


2022年2月10日

宇宙航空研究開発機構

国際宇宙探査センター


2021年7月から10月にかけて募集を行った、月面での科学研究・技術実証ミッションにかかるフィジビリティスタディテーマ (以下、「月面科学ミッションFSテーマ」)として、課題A区分2件、課題B区分2件の計4件を選定しました。

我が国は、火星を視野に入れつつ月での持続的な活動を目指す国際宇宙探査において、段階的に進められる基盤整備に我が国の強みを活かして参画するとともに、月面活動の機会を活用して新たな知を創造し、世界をリードする科学技術の成果を創出することを目指しています。
その一環として、月面に向けたフライト機会の有効活用が見込める科学研究あるいは技術実証ミッションのアイデアを2021年7月から10月にかけて募集しました。

選定されたテーマは、JAXAとの共同研究契約を締結し、最大1年間のフィジビリティスタディ(FS)期間を通じて、技術的な観点及びリソース(搭載質量やサイズなど)からの実現性の検討を行います。FS期間後には科学評価およびプログラム評価を行い、実施の価値および実現性が十分と判断された場合には、TRL(技術成熟度レベル:Technology readiness levels )に応じ、別途締結する共同研究契約のもとで、先行的な技術の研究開発(フロントローディング)を行い、搭載機会の具現化に備えることを想定しています。

【募集課題と選定結果】
課題A:持続的な月面探査と月面利用の拡大に不可欠な月面環境情報(ground truth)の取得ならびにそれに基づく環境予測モデル(予測方法)の構築
今後想定している月面モビリティや拠点インフラの構築に向け必要な放射線や熱的な環境、地盤、地質などの環境情報について、実際にその場観測し、それらのデータをもとに未踏もしくは未観測の地域・地点に対する環境予測を行うモデル構築の研究です。実現性検討(FS)では、観測・データ評価の手法と実現性について検討します。

代表提案者
選定テーマ
参加機関(予定)
名古屋大学
三好由純
 月面利用の拡大に向けた超小型・高機能な宇宙放射線環境の計測技術とリアルタイム被ばく線量評価システムの構築 東京大学、原研、慶応大学、神戸大学、理研、高エネ研、京都大学、JAXA
東京大学
宮本英昭
 マルチスケール月面誘電率計測のフィジビリティスタディによる月浅部地下探査新手法の検討 東北大学

課題B:世界をリードする科学成果の月面活動からの創出
日本が主導する月面における科学活動から、アポロ計画が現代の惑星科学を形作ったのと同程度な大きなインパクトを宇宙科学にもたらすことを意図し、下記の3つのテーマを対象とした提案を募集しました。
 ① 月面からの天体観測(月面天文台)
 ② 重要な科学的知見をもたらす月サンプルの選別・採取・地球帰還
 ③ 月震計ネットワークによる月内部構造の把握

代表提案者
選定テーマ
参加機関(予定)
理化学研究所
榎戸輝揚
 水資源探査とも連携した宇宙の暗黒時代に迫るガンマ線・低周波電波の月面天文台 国立天文台、近畿大学、広島大学
JAXA/ISAS
吉光徹雄
森治
佐伯孝尚
 第一級の月面科学を実現するためのシナリオと実現性の検討 国立天文台、東京大学、立教大学、九州大学、パリ大学